宮古島LOG番外・多良間/水納島訪問記


これは、1992年の夏、宮古島から多良間(たらま)島・水納(みんな)島へ遠征したときの様子を綴り、NIFTY-Serve FDIVING にアップしたものに少々加筆したものです。

OkinawaMap.gif
沖縄の島々のだいたいの配置図(縮尺はいいかげん)


【貸し切りだ!遠出だ!多良間(タラマ)島だ!!】

 7月15日、11日から連日一緒だったメンバーが昨日一気に帰ってしまい、なんとお客は私1人。貸し切りって奴だこりゃ。何日か前から松ちゃんが「多良間行こうよ」って言ってくれてたのだが、ホントに行けるなんて超ラッキー!。なんと言っても多良間は遠い。潮も早く、状況が良く無ければなかなか行けないところなんだそうだ。

 当日は朝7時集合。みんな眠そう。カメラ派3人は皆ワイドレンズを装着。理絵ちゃんはビデオ担当だ。器材を船に積み込み、7時半いざ出発。

ninnaOW2.jpg いつものように伊良部島に向けて船は進む。しかし今日は下地島側に回り込まない。まっすぐ宮古を背にして進み続ける。ツインエンジンの力強い回転によって、水がはじけ白泡となる。白泡はその場に置き去りにされ、2筋の軌跡となる。そんな景色を見ているのにもやがて飽き、デッキに横になる。天気は抜群、風は心地よい。寝るなと言うほうが無理だ。運転手の松ちゃん以外、皆、夢の中へ。

ninnaOW3.jpg 宮古を出て1時間半。前方に多良間島が見えてくる。鉄塔が建つなど人のいる気配が感じられる。伊良部島みたいな感じ。一方、右手には水納(ミンナ)島が。水納島は本当にぺったりとした、いまにも沈んでしまいそうな島だ。まずは多良間側にアンカーを打ち、一本潜ることになる。が、腹へったぞ。と思っていたら理絵ちゃんが「少しは食べないとおなかすくよネ」とオニギリを持ってきてくれる。2個食べる。

 さあて、これで力が出たぞ。はるばる来たゼの多良間の海にエントリー。

ninnaOW3.jpg エントリーしてすぐ「これはすごい!」。スッコーンと抜けている。真っ白な砂地が眼下に広がる。滑空するように深度を徐々に下げる。フィッシュアイを付けたアクアティカを覗くと、全視野もうグレートブルーであふれている。4人はバラけたり連れそったりしながらゆっくり進む。理絵ちゃんはカメラ男3人にモデルを要求され、なかなか忙しい。泳いでこいだの、そこに浮けだの。でもやっぱりモデルは女の子の独壇場だわ。男じゃ絵になんないこと。「八木ちゃん、邪魔だあ!どけよー」。「あーあ、そこに居なくていいのに」みたいな。もちろん聞こえていないけど、カメラ構えて、すぐに「ダメだあ」みたいなそぶりで構えをはずすからわかるんだよね。

taramano-kaichuu.jpg 白砂の波紋がとにかくきれい。中層から砂の上部を少し入れて測光すると、1/60でF8程度。その辺を中心にプラマイ1振って撮っておく。今回は遠くに小さくポチンと人を入れる構図を意識してみる。

 比較的深い深度を維持するダイビングになってしまったので、潜水時間は短めだったが、超キレイキレイのタメイキ100連発の多良間島1本目であった。松ちゃん曰く「このあたりは潮が流れるとガンガンになってるんだろう。根も平べったいし、おおきなヤギが全然無い。だからこれだけ砂がきれいなのかもね。」。

ninnaIS1.jpg 船に上がって、フイルムを入れ替え、残りのオニギリをパクつく。全部で4人しかいないので、デッキが広い広い。器材の整理整頓なんてくそくらえだ。ウェットスーツも脱ぎ捨て。  西のほう遥かに島影が見える。なんと石垣島だ。うーん、はるばる来たもんだなあ。私にとっては未踏の地、石垣がこの先にあるわけだ。一方、宮古の方を振り返ってもなにも見えない。多良間は距離的には宮古−石垣のほとんど中間なのだが、石垣のほうが標高が高い山があるので見えるのだろう。

 2本目のポイントも当然のように名無しポイント。というかポイントをまず捜さねばならないのだ。岸沿いに船をはしらせ海中の地形を観察する松ちゃん。同時に潮の流れも。はじめ目星を付けたあたりは潮目がメチャクチャでバツ。引きかえすかんじになって、似たような砂地のポイントにアンカー。

miyakoXX.jpg 環境的には1本目と似ている。しかし少々流れが出てきたため、落ちついて潜れない。常にだらだらとフィンキックしていたみたいな。地形も根が低く締まりがない。ちょっとはずしたかな、こりゃ。でも、根がらみのワイドマクロっぽいカットをいくつか試みる。

 エクジット後、気を取り直して水納島を目指す。昼飯のおかずを釣ると言って松ちゃんがルアーでトローリングを試みるが、ぜーんぜんダメ。さっさと片づけて、すなおに持ってきた弁当を食べようよ。


【天国の島・水納島】

 誰が言い出したのか知らないが、水納島は天国の島なんだそうだ。天国の人口はなんとたったの7人。他には牛と山羊とニワトリが住んでいる。

ninnaOW1.jpg 3艘も留めれば一杯になる小さな港に接岸。上陸の前にまずは腹ごしらえだ。今日のメニューは理絵ちゃんお手製の「そうめん」。きゅうりやたまごやしいたけがのったさらさらのそうめんはなーんてダイビングの後に合うんだろう。我々4人は幸福をかみしめながら(でもないけど)巨大タッパー2杯分のそうめんを喉に流し込むのだった。デザートは葡萄。「ブドーはめんどうくさくていやじゃ」などと文句をたれる某1名を除いて、これもまた平らげてしまう。良く冷えたジュースも頭にキンキン来てうまい。

ninnaIS2.jpg 腹の案配もよくなったところで食後の島内探検としゃれこむ。以前にここに来たことがある松ちゃんと理絵ちゃんは、だいたいの地理がわかっている。「道が一本しかないんだよ」と理絵ちゃん。その一本しかない道を行く。道の両側から木々が沸き上がるように伸び、道の上で交差している。自然が作った日除けのアーケード。もちろんちょっと油断すれば道自体がたちまち林に飲み込まれてしまうだろう。自然の中で暮らす島の人々の苦労が偲ばれる。

 アーケードを抜けると、手入れされ、区画分けされた猫の額ほどの小さな牧草地が見えてくる。その脇に人家が並ぶ。一軒目は留守のようだ。失礼して窓から中を覗き見ると、電化製品など結構揃っている。衛星放送も必需品のようだ。

 妙に感心していると、隣家から、一足先を歩いていたはずの松ちゃんの声が聞こえてくる。「おーい、お茶飲んでいってってさ」と呼ぶ声がする。我々3人もお邪魔する。若い息子さん(30代か?)と、その親父さんだろう、の2人が冷えた茶をすすめてくれる。真っ黒に焼けた親父さんの顔や手の皺は南の島の人のモノだ。皺は深いが肌はつやつやと光っている。

miyako16.jpg ところで、彼らの家は一風変わっている。構造的には窓があるのだが、ガラスがはまっているのではなく、板なのだ。雨戸というわけでもなく、板の戸だけ。昼間の暑さをしのぐための工夫なのかもしれない。たしかにこの玄関先はヒンヤリとしていて、外の暑さに侵されていない。

 ごく最近、この島にも海底ケーブルで送電線が設置された話、海亀の産卵の話などを聞く。宿帳ならぬ訪問者帳というのがあって、名前を書いてくれというので「神奈川県・・」から住所付きで記帳させていただく。はるばるここまできた南足柄市民もそうそう居まい。

 再び一本道に戻り、前進する。徐々に道がはっきりしなくなる。野生の山羊が我々に驚いて林の中に飛び込む。獣道のような道をたどると、やがて潮の香りが濃くなり砂浜に出た。なんと、わずか10分程度で島を横断してしまったのだ。

ninnaIS1.jpg ここからは海岸沿いに島を半周し船まで戻ることにする。潮は引いておりあちこちにタイドプールができている。「大潮の八重干瀬みたいだな」と八木ちゃん。理絵ちゃんはビン玉をしきりに捜している。日差しはいっそうきつく、ときどき頭をタイドプールの水で濡らしながら歩く。そうしないとぶっ倒れそうだ。(まさに天国の島だ。あと1歩で昇天だぜ)。延々岩場と砂が続く。歩みを進めると「ザザザザ・・」と音をたてて岩がうごめく。何万匹もの「ふな虫」が、逃げまどっているのだ。あわてものの中には、オーバーハングした崖をかけ登って、勢い余ってポタポタ落ちてくる奴もいる(オエッ!)。松ちゃんと八木ちゃんはゴキちゃんに似たこいつらが苦手なようで、連中を避けてタイドプールをザブザブと歩く。(モンハナジャコは平気なくせになあ・・・)。全然平気な私と理絵ちゃんは、ちょっと悪いけど踏みつぶしながら岩場を進む。

ninnaIS1.jpg この道中も、松ちゃん八木ちゃんのカメラ派は交換レンズまで持って熱心に撮影に励んでいる。私はコニカのパノラマ改造品の広角写るんですだ。まるでいいかげん。  松ちゃんが海亀の産卵跡を発見。跡をたどっていくとずいぶん海岸線から砂丘の上に砂を掘り返した跡があった。この下に産みつけられているのだそうだ。産卵場所がけっこう海岸から遠いのと、そこまでの間にジュースの容器などゴミの漂流物が非常に多いのが印象的だった。亀が卵を産むのも楽じゃないようだ。

 小1時間かかって島を半周し港に到着。すっかり日に焼けてしまった。名残はつきないが3本目のダイビングのために天国の島「水納島」を離岸する。「今度は泊まりで来よう。堤防でゴザ敷いて寝ればいいサ」で意見が一致する。

miyako5.jpg 遠征最後の1本は、水納島のすぐそばだ。地形は多良間島と同様、白い砂地に根が点々とばらまかれたような感じ。最大の特徴は水納島へ電気を送るための海底送電ケーブル。水深20mの砂地にドテーッとケーブルが延びる。人間て馬鹿だけどそのパワーってけっこうすごいよなあ。こんなことまでやってしまうんだから。例によって4人がつかず離れずで、あちこちの根を回る。やや不調の右耳をいたわりつつ、いつもよりは早めの浮上開始。さてさて、私のおカメラ様はこの素晴らしきグレイトな青の世界をどれほどに捉えてくれたであろうか。

 最後に理絵ちゃん曰く「小野さん(私のこと)は、お客さんとして多良間に来た第1号だヨ」。へっへっへ、ああ幸せ。お馴染みさんならではの特権という奴でしょう。でもお店としては、燃料費・人権費、何をとっても赤字だよね。松ちゃん、スタッフに感謝感謝。

文:小野修司

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